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泉美木蘭
2021.12.21 15:45

過去を眺めてはみるけれど

きのう『ドリフ大爆笑』のエンディング映像を
探していくつか見ていたら、
映像が過去にさかのぼるほど、メンバーみんなが
ニコニコ笑っていることに気が付いた。
私の記憶に残っている1980~90年代ごろのエンディングは、
5人がスーツとネクタイ姿でスタジオに登場し、
大勢のチアリーダーに囲まれながら、
「ババンババンバンバン♪」を歌うんだけど、
なんだか誰一人ニコリともしていなかったの。
それでいつも子供ごころに不安になって、
「コントと全然違うよ~! なんでこんな不穏な空気なの??」
と、注目せずにいられなかったのだった……。

過去の映像を眺めていると、
思わず「あの頃は良かったなあ」なんて年寄りくさいことを
言いたくなる気持ちになるんだけど、
よくよく考えてみると、それって、自分の過去から、
良い思い出だけを抽出して浸っているだけだったりする。
つまり、現実逃避だね。
実際には、ほんとに大変なことばかりだったので、
どの過去にも戻りたくない、冗談じゃないって感じだ。

常に現在に立って、未来に向かっていかないとね、
と思うのだけど、
ふんぞり返って思想を語っていたはずの知識人が、
コロナでたちまち畜群と化してしまったことは、
実は、過去の歴史や思想を糧にして現在を生きていたのではなく、
過去の歴史や思想を、やんわりと現実逃避の餌にしていた、
過去を本当に「ただの過去」としてカットしてしまい、
活かせなかったということになるのではないかなと思えてくる。

いま、現実、起きていることと対峙するのは、
社会問題でも、身近なことでも、自分自身が行った結果でも、
ものすごく大変で、真剣になればなるほどストレスもかかるし、
なにより、意志の力がいるものだと思う。
でも99%ぐらいは、無意識下の自分にコントロールされているから
抗うのはなかなか大変だ。筋トレしなきゃ。

 

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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